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Web マガジン「まごのて通信」第 3 号
企業を脅かす「Excel レガシー問題」

2009.5.14 (木)

Excel マクロは中小企業の味方!?

小規模システム開発と非常に親和性が高いのが、マイクロソフトの Excel です。Excel マクロを用いた社内システムは、企業や組織の規模の大小を問わず使われています。

Excel マクロの一番の魅力は、実用的なプログラムが簡単に作れてしまうことです。入力画面は Excel のシートとセルという立派なお膳立てがあり、印刷機能も標準でついています。入力と印刷という二大難関を Excel に丸投げできるわけです。

どこの組織にも、Excel に強い人は 1 人や 2 人はいるものです。最初はシンプルだった Excel マクロが次々に機能を増やしてゆき、いつしか組織に不可欠な存在にまで育ってゆきます。

「気がつけばブラックボックス」の罠

さて、Excel マクロで作られたシステムを使い始めてからしばらく経ってから、業務フローが変わったり計算の方法が変更になったりして、Excel マクロを更新する必要が生じたとします。

マクロを書いた人がササッと修正できればよいのですが、当の作者が別の部署や支店・支社へ異動になっていたり、退職していたりすると厄介なことになります。作った本人がプログラムの詳細を覚えておらず、変更できないということもままあります。「(作者が)どこの誰かは知らないけれど、(システムは)誰もがみんな知っている」なんていう「詠み人知らず」のマクロもたくさんあるようです。

作った本人でなくともマクロの変更は可能ですが、非常に困難です。セルの計算式とシートのマクロが複雑に絡み合い、どこに手を入れれば挙動が変更できるのかを解析するだけでも一苦労。現役プログラマーの私も、他人が書いた Excel マクロを仕様書も何もなしに修正するのは御免蒙りたいと思うほどです。

Excel ファイルバージョン地獄

また、Excel のファイルが人から人へとメールに乗ってコピーされ、いろいろな日付のファイルが社内に混在していて、どれが最新版だか分からないケースもあります。下手をすると、複数のバージョンが部署ごとに独自に改良されていて、そこへ新たな機能を付け加えようとして破綻してしまいます。

さらに、Excel のバージョン問題も忘れてはいけません。Excel で作られたシステムは、Excel をバージョンアップしても 100% 同じ動きをする保証はないのです。パソコンのリース期間が満了し、新しいパソコンに入れ換えたら Office のバージョンも上がっていて、今まで会社の生命線として活躍していたマクロが動かなくなった、なんていう話もあります。

脅しが過ぎるように聞こえたかもしれません。しかし、業務の効率アップのために導入したはずの Excel マクロに縛られて身動きが取れなくなっている組織や、Excel のバージョンを上げるに上げられない会社は確かに存在するのです。このような問題を「Excel レガシー問題」と呼びます。

「レガシー(legacy)」とは「遺産、相続財産」を意味する言葉ですが、こと IT の世界では「その役目はすでに終えたが、歴史的な経緯やしがらみで捨てるに捨てられず生き残っているもの」という負のニュアンスで用いられます。

ご利用は計画的に

Excel レガシーを恐れて Excel マクロの利便性まで否定する必要はありません。Excel レガシー問題の深みにはまらないようにするために、以下の 4 原則を提言します。

1. 管理者を指名し、それ以外の人にマクロの変更をさせない
Excel マクロをみんなで好き勝手に改変すると、先に述べたような複数バージョン混在による破綻劇を招きます。Excel マクロはお手軽とは言え、組織の業務を担う、れっきとしたシステムです。キチンと管理者を定め、マクロの変更は管理者のみに許可するようにします。専業ではないにせよ「プログラマー」ですから、管理者手当を支給するくらいでちょうどよいと考えてください。
2. バージョン管理を厳格に
これも前項と似た話ですが、それまでに作成したすべてのバージョンを手元に残し、機能追加は最新バージョンをもとに行うようにします。古いバージョンを残しておくのは、問題が発生した場合にどのバージョンからおかしくなったのかを検証できるようにするためです。
3. 最新版の置き場所を周知徹底させる
最新版の配布はメールの添付ではなく、ネットワーク上のファイルサーバーにアップロードするようにします。メールで回覧するとタイムラグが生じ、古いバージョンで作業される恐れがあるからです。
4. 機能追加は費用対効果を考えて
「金槌を持つと、見るものすべてが釘に見える」という言葉があります。ある程度 Excel マクロを使いこなせるようになると、何でもかんでも Excel マクロで解決しようとしがちですが、Excel マクロの活用は単純作業の自動化くらいに留めておいたほうが無難です。
複雑な処理を実装し、その処理が正しく実装されたことを検証する時間に見合った効果を得られそうになければ、別の手段を考えましょう。深入りは禁物です。

大量のデータ処理には Excel より Access が向いています。また、利用者が複数人いる場合は Access ではなく専用のアプリケーションを導入することを強くおすすめします(Access については回を改めてお話しします)。

「財産」であるべき貴社の Excel マクロ、いつの間にか「負の遺産」になっていませんか。社内のマクロの棚卸しをしてみてください。

お知らせ

社内の Excel レガシーを専用アプリケーションで解決したい方は、「開発の流れ」をお読みの上、まごのてシステムまでご相談ください。現行の Excel マクロシステムのデータ引き継ぎを含め、スムーズな移行のお手伝いをいたします。

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